先日ひとに頼まれて、浅草まで扇子を買いに走りました。仲見世通りの小さいお店で
予算と目的を伝えると二人のおばあちゃんがパンパンと商品を広げて見せてくれる。
かわいいかわいい、と関心しているとどんどん出てきて際限ないのでキリのいい所で
「これ」と決める。筆算で勘定しながらお遣い大変ね、とたくさん勉強してくれた。こども
の頃、近所へ回覧板を持って行くとちょっと待ってて、とティッシュやビニールに包まれた
お菓子をもらっていました。祖母たちは、飴かアイスでも買いなさいと千円くれた。帰り際、
サイフをしまって開けっ放しのカバンのチャックの心配までしてもらって頭を下げて店を
出る。日常で扇子を使うようなことがないのでどう使うものかピンときませんでしたが、
あれは観賞するのにすごくいい。パッと開くと手のひらの中でじっくり見れて、畳むと
小さいし表面も汚れない。いつでもどこでも見れる。ぜいたくー。
(伊藤絵里子)