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2015年 06月 01日
「世安湯」(よやすゆ) 〒860-0823 熊本市中央区世安町448 096-325-8348 定休日:火曜日、金曜日 営業時間:15:00-21:00 *被災により、現在休業中です 北海道型と京都型の二段活用 五月晴れの午後、麦わら帽子を深めにかぶり熊本駅前から白川橋を渡ると、そこは開発が進む駅前とは対極に昔ながらの世安(よやす)町の路地。たばこ屋が併設された二階建には「ゆ」という小さな袖看板、正面入口には北海道型の暖簾が悠然とはためいている。「こんにちは」と縦に銭湯までのびた土間を進むと、笑顔で迎えてくださったのは三代目の坂﨑友治さん(51)。都内のシステムエンジニア出身、笑顔が「若々しい」(常連さん)と評判の人気者。 地元新聞に掲載された先代(準之助さん)の記事を読んで早期退職を決断、当時県外に勤務していた奥様の由美さんと故郷に戻り引き継いだのが昨春。実は由美さん、記事に読んでいたご主人の背中に向かって、心でガッツポーズ。というのも、銭湯文化を引き継げることが悦ばしかったのだとか。話し足りない気持ちをおさえて、銭湯へ。土間を進むと正面窓は網戸で手前に掛けられた京都型の暖簾越しに男湯の富士山。入口に北海道型、玄関手前に京都型。というのも、それまで暖簾がなかった世安湯。初めてのかたに「ここは銭湯ですか」と質問されたのがきっかけで、すぐに暖簾の歴史を調べて問合せたところ、牛乳石鹸から親切に各地の暖簾をいただいたのだとか。入口は「銭湯です」の暖簾、そして銭湯玄関は「いらっしゃいませ」の暖簾。おもてなしの二段活用である。 左右にそれぞれドアがあり、三和土で靴を脱いであがると六畳ほどの脱衣場。左手には二段ロッカー、右手には畳一枚分ほどの小上がりが湯あがりには嬉しい。磨きあげられたガラスサッシのドアを開けると両側には白タイルに湯量たっぷりのカラン、そして暖色系のタイルで彩られた湯船に射しこむ西日が美しい。一昨年、テレビの年末特番で銭湯絵師の中島盛夫さんによって描かれたのは、男湯と女湯それぞれに端正な富士山と穏やかな浜辺や湖畔。湯船は小ぢんまりとしていて使い勝手のいい配置。地下水を薪で沸かしたお湯は、イオン化浴泉生成器を通したラドン湯で芯からあたたまり、肌あたりが実にいい。白湯は手前から浅めジェット41度、奥が深め42度(冬場は其々42度、44度)。その横には薬湯が40度前後。 同じ温度でも反応は様々で、継いだばかりの頃は判断に困ってしまうこともあったそうだが、ある時「あんたが決めなっせ(決めなさい)」と常連さんに言われてスッとしたのだとか。ライオンから勢いよく流れだすお湯の湯加減、富士山のパノラマ、大きな窓からの採光が実にのびやかでいい。そして、珍しいのは白湯の蛇口上に固定された花瓶。ふと見渡すと、水風呂や境壁、脱衣場に観葉植物や花々が飾られている。建物の外壁を彩るつる薔薇をお客さまにも愛でていただきたい、という初夏の心づかい。そして、ここは阿蘇の恵みをうけた「水の都」熊本。手前右手には、ステンレスの水風呂。夏はつめたく、冬はあたたかい地下水を是非堪能していただきたい。 先代から三代目への「おもてなし」バトン 実は前回、ペンキ画の完成直後に訪問して以来である。当時はたばこ屋部分の障子が全て閉じられていて、土間部分も薄暗い印象だったのだが、整理された土間にはベンチや看板。開かれた空間となったたばこ屋部分は応接テーブル、パソコン等動きやすい動線となり、文学全集や小説、可愛らしいカップが飾られていて、風通しのいい空気が全体から伝わってくる。世安湯として、熊本駅の案内板に「くまもん」付で広告を出すだけでなく、県浴場組合(17軒)としてホームページ制作にも取りかかっているとのこと。「まだまだ、僕たちは丁稚だから」とおふたり。昭和五年から受け継がれてきた世安湯の歴史、そして先代が実践なさってきた「常連さんを大切にする」おもてなしは、まっすぐで前向きな三代目へとバトンタッチされたばかりである。 (文責:masami)
by yunotashinami
| 2015-06-01 00:00
| 全国浴場新聞(連載)
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